講師養父貴
Jazzのアドリブが出来るようになるために必要な基礎力を身に付けるコースです。
Jazzの大きな魅力のひとつに即興演奏(アドリブ)がありますが、ある程度ギターが弾けるような中上級者でも、Jazz曲のアドリブは苦手としているようです。これは他のジャンルに比べて Jazz曲の“コード進行が複雑である”という点も大きな理由の一つだと思います。コード進行がシンプルであれば、スケールをあまり切り替えずにソロを弾き続ける事が出来ますが、JAZZの場合は頻繁に一時転調したりするので、なかなか 1 つのスケールで弾き切る事が出来ません。
そういった複雑なコード進行に対応出来ない状態の方が、いきなりJazz曲の練習に入っても「Jazzの雰囲気」は味わえますが、アドリブは「何となく弾ける」程度で終わってしまう事が殆どです。そういった事態を避ける為にも、Jazzの場合は特に「徹底的な基礎練習」が結果的に上達の早道となります。
このレッスンではJazz曲で使われる定番のコード進行を分析し、アドリブが出来るようになる為に必要なスケール練習、コードトーン練習、「Jazz語」と言われるJazzフレーズの習得、12Keyへの対応の仕方などを学び、必要に応じて運指やリズムなどの技術的な部分にも言及していきます。
このJazz Guitar Basic1&2をマスターしてから曲練習に入ると、確実にアドリブのスキルが身に付いている事を実感して頂けると思います。
・アドリブをするための4つの重要なポイント
・2-5-1フレーズを覚える
・おすすめのフレーズ教材について
・2-5-1フレーズを弾いてみる 5弦ルート
・運指について レガートの重要性
・フレーズはコードとセットで覚える
・同じフレーズを色々なポジションで弾けるようにする
・2-5-1フレーズ例 6弦ルート
・フレーズは度数で見えるようにする
・おすすめ練習ツールについて
・スケール練習する意味とは
・Cメジャースケールを徹底的に練習する
・Cメジャースケールは読譜の基礎となるスケール
・Cメジャースケールで音の動かし方を覚える
・Cメジャースケールとの比較で他のスケールを理解する
・Cメジャースケール7ポジション
・スケール内の音を度数で弾く
・3度音程で弾く
・ジョイントの運指は出来るだけ避ける
・Cメジャースケール3度音程 7ポジション練習
・KeyとPositionの関係
・バッキング・トラックについて
・Jazz曲はフラット系が多い
・Keyとポジションの関係性を考える Key = B♭
・Position6での2-5-1フレーズ例 Key = B♭
・ポジション毎に弾きやすいフレーズへと変化させる
・Position6での2-5-1フレーズ例 Key = C
・Keyとポジションの関係性を考える Key = F
・Position3での2-5-1フレーズ例 Key = F
・G-7(9)状に構築されるB♭maj7アルペジオに注目する
・Position2での2-5-1フレーズ例 Key = F
・フレーズと対応した5つのコード・ポジション CGDAE
・3度音程の発展
・メロディック・パーミテーションについて
・3度音程メロディック・パーミテーション 7ポジション
・3度音程を横に動かす
・3度音程の動き 1&2, 2&3, 3&4弦
・音楽的なフレーズへと発展させるための3要素について
・3度音程をリズミックに弾くフレーズ例 Ex.1~Ex.6
・スライドの多用、3連符、3度音程の積み重ね
・スライドは左手でリズムが決まる
・3度を積み重ねると、コードアルペジオになる
・常に音楽的に弾くことを意識する
・コード・トーンの重要性について
・スケールはコード・トーン+テンションで捉える
・コード・トーンが見えるメリットは沢山ある
・5種類のコード・アルペジオ 4和音 5&6弦ルート周辺
・3度を積み重ねると、コードアルペジオになる
・運指について
・5種類のアルペジオを連続して弾く Ex.1~Ex.10
・コード・トーンを4音ずつのセットで弾くEx.11~Ex.20
・Keyを変えていく
・リズミックアプローチやアーティキュレーションを加える
・1つのKeyを決めて練習
・12Keyを連続して動かす練習
・#1 全音下降で動く
・#2 完全5度下に動く
・#3 短3度上に動く
・#4 半音下降で動く
・#5 曲のコード進行を流用する
・12Key練習を1ポジションで弾く
・メジャー・スケール12Key練習を1ポジションで弾く
・アルペジオ12Key練習を1ポジションで弾く
・C7,Cmaj7,Cm7,Cm7(♭5)のアルペジオ 別ポジション
・2-5-1フレーズの12Key練習を1ポジションで弾く
・アプローチ1 同じフレーズを3ポジションで作る
・アプローチ1 違うフレーズを何種類か使う
・12Key練習をすることで自分の弱点を探し出せる
まずはJAZZの大きな魅力の一つである「アドリブ」について考えていきましょう。
アドリブが出来るようになるためには4つのポイントがあります。
1)JAZZフレーズの習得
2)スケールに対する知識と技術
3)コードトーン対する知識と技術
4)コード進行に対するアナライズ(解析)
今回はこの中の「JAZZフレーズの習得」について考えていきます。
JAZZのアドリブというのは言語習得プロセスと似ている所があります。
普段、私達は人と会話するときに膨大な日本語の中から瞬時に(ある意味無意識に)言葉を選んでコミュニケーションしていますが、これは初めから出来た訳ではありません。子供の頃は読み書きを習いながら単語の意味を知り、単語量を増やし、拙いながらも会話をし続ける事で、日本語での会話方法を身に付けてきた訳です。
JAZZのアドリブにも同様の事が言えます。
まずは「JAZZ語」であるJAZZフレーズをたくさん覚えることが大きなポイントになってきます。
初めは同じフレーズを何度も弾いてみて下さい。出来るようになったらポジションを変えてみる、Keyを変えてみる、フレーズ自体に変化をつけてみるetc・・・そしてスケール練習などとミックスしていく事で、やがて自由にフレーズが出てくるようになります。
Key=Cで言うとDm7 – G7 – Cmaj7 というコード進行を「メジャーの2-5-1(ツー、ファイブ、ワン)コード進行と言います。まずはこのコード進行上でフィットするフレーズを覚える事が重要です。
なぜならJAZZの場合、この2-5-1コード進行が使用されている楽曲が非常に多いからです。
同じDm7 – G7 – Cmaj7 というコード進行をRock的に弾く事も、Bluesyに弾く事も可能です。これは何が違うのでしょう?
音色やフィーリングもあるでしょうが、多くは「フレージングの違い」だと思われます。つまり逆に言えば「JAZZっぽいフレージング」というのは確実に存在します。つまりそれが「JAZZ語」という事です。
理論的に分析すれば「コードトーン中心のフレージング」「クロマチックノートの多用」「G7でのオルタードフレーズの多用」などと言えるのかも知れませんが、まずは理屈抜きでJAZZ語を沢山覚えましょう。そういう意味でも偉大なJAZZプレイヤーのフレージングをコピー&ストックする事はとても大切です。
2-5-1フレーズ集みたいな教則本も沢山ありますし、ネットを検索すればそういったフレーズを教えているサイトは沢山あります。入口として、そういった教材を利用する事は良いかも知れません。
しかし、そういうフレーズ集に載っているものは初心者向きに簡単にしているフレーズも多く、正直に言って「こんなフレーズ、本番では弾かないよな~」というフレーズがあるのも事実です。
私がオススメするのは偉大なJAZZプレイヤーのフレージングを直接コピーする事です。
彼らの演奏は文字通り本気の「生きたJAZZフレーズ」を紡いでいますので、そのフレーズを最初からコピーした方が将来的に絶対に良いと思います。プレイヤーの楽器は、ギターはもちろんSaxでも、Pianoでも構いません。ギタリストでしたら洋書になりますが、HAL・LEONARD出版社が出している
BEST OF WES MOTGOMERY
BEST OF JOE PASS
BEST OF PAT MARTINO
BEST OF JIM HAll、
BEST OF GRANT GREEN、
BEST OF GEORGE BENSON、etc・・・・(順不同)
などのソロコピー集がオススメの教材です。彼らが今までに演奏した名演のコピー譜(Tab譜付)が載っています。採譜の精度も高く、ポジション(Tab譜)もかなり正確に取れていると思います。総じてHAL・LEONARD出版社が出している教則本はクオリティが高いと思います。日本ではAmazonで購入できる事を確認しています。どのアーティストが良いのかということについては、お好みで構いません。
時間があればフルコーラス・コピーしても良いですが、まずは2-5-1フレーズ(又は2-5フレーズ)だけ抜き出して弾けるようにする事をオススメします。CDを聞きながらコピー譜を追いつつ、美味しいフレーズと感じる所にチェックを付けて、コピーしていくと良いでしょう。
参考までに12Keyでの2-5-1コード進行例を載せておきます(図1)。
ご存知の通り12Keyは異名同音(例 Key=Db とKey=C#は同じ)が存在しますが、現実的に使用頻度が高い方のKeyで表記してあります。
「コピー譜を見てもどこが2-5-1なのか分かりません」という方は前述した2-5-1フレーズ集などからスタートしましょう。
(図1)
以下に2-5-1フレーズ例(図2)とその参考演奏を載せておきました。
どれも前述したように偉大な先人達のフレーズをコピーしたものです。
JAZZの特徴には少しハネたリズムである「Swing Feel」がありますが、ここは深い部分でもありますので、この先のレッスンでしっかりと説明したいと思っています。今は理屈抜きで参考音源を真似して弾いてみて下さい。
参考演奏は各Ex.を2回ずつ弾いています。テンポ160で弾いていますが、もっとゆっくり弾いても構いません。バッキングトラックもその下に挙げておきます。Lesson2で説明しますが、iRealProなどをお持ちの方は自分の好きなテンポでバッキングトラックを作って演奏してみて下さい。そういったツールが無い場合はメトロノーム上で弾く形でも全く問題ありません。
(図2)
(図2)参考演奏
(図2)参考演奏バッキングトラック
ギタリストにとって運指(どの指を使って弾くか)はとても重要な問題です。
基本、無意識に弾く時は出来るだけ音が繋がるように、つまり「レガート」で弾く事を心がけて下さい。実はギターという楽器はレガートで弾く事がとても難しい楽器なのです。正しい運指で弾かないと音が途切れ途切れの演奏になってしまいます。上手い人とそうでない人の演奏の差の多くはここにあります。レガートで弾き続けるためのポイントは「フレーズの先を読んだ運指(フィンガリング)」なのですが、これは一言では説明できませんので、まずは理屈抜きにTAB譜の下にある指番号で弾いてみて下さい。
TAB譜の下にある数字が指番号です。各指に対して番号が付いています。
1 = 人差し指
2 = 中指
3 = 薬指
4 = 小指
もちろん、手の大きさは人それぞれですので、どうしても弾き難い箇所は自分の弾きやすいように変えて頂いて構いません。最初はかなり意識しないとレガートで弾けないはずです。フレーズの1音1音がプチプチと切れているような演奏は間違いなく運指が悪い時です。
私もある時にレガートの重要性に気が付いて、自分の弾くフレーズ全ての運指を見直した時期がありました。運指を見直した事によって演奏のクオリティが上がった事を実感しています。
1)フレーズは基本レガートで弾けるように(無意識な演奏時には常にレガートである状態が理想)
2)短い音の時に初めて“意識的に”短く弾く。
このような状態になれるように、自分の運指は常に研究してみて下さい。
『記号について』
H = ハンマリング・オン、
P = プリング・オフ、
S = スライド
・ = スタッカート
いわゆる「表情付け」、アーティキュレーションとかニュアンス、と呼ばれる部分を表現するための記号です。全てを忠実に守らなくても良いですが、これもまたJAZZ特有の「Swing感」を出している部分でもありますので、出来る方は譜面の通りに弾いてみて下さい。
フレーズのダイナミクス(強弱)や、伸ばしている音の長さ、グリスダウンなども参考になれば幸いです。
次の演奏課題を動画で録画、または音を録音して送ってください。
(図2)Ex.1~Ex.5の2-5-1フレーズ例を弾いて下さい。
出来る人は全て、難しい人は弾けそうなフレーズだけで結構です。
前述した通り、参考音源はテンポ160で弾いていますが、もっとゆっくり弾いても構いません。
全12Lesson中のLesson1をご覧いただきました。
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